・ 概 要
 ・ 動脈の構造弾性型動脈筋型動脈細動脈
 ・ 毛細血管の構造
 ・ 静脈の構造
 ・ 伴行静脈 / 皮静脈
 ・ 硬膜静脈洞
 ・ 動脈と静脈の違い

 

 

 血液は血管壁の内部にある内腔 (lumen) を流れているわけだが、その血管壁は、動脈と静脈で若干の違いはあるが、基本的には以下の3層構造となる。

  

 

  

 動脈とは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ 弾性型動脈 ( elastic artery ) ■

 弾性型動脈とは

 以下は「 日本人体解剖学 」の解説文となる。

「 心臓から直接出る太い動脈である肺動脈(幹)、大動脈およびそれから分岐する腕頭動脈、鎖骨下動脈、総腸骨動脈などである。中膜に豊富な弾性繊維を含み伸縮性に富むので容量動脈とも呼ばれる。

 ・ 内 膜 : 内皮 endothelium( 単層扁平上皮 )と内皮下層( 結合組織及びわずかの縦走する平滑筋と細い弾性繊維 )からなる。
 ・ 中 膜 : 多くの輪走する平滑筋層と間に介在する多量の弾性繊維あるいは弾性繊維が融合した弾性板 elastic membraneからなる( 弾性板には、ところどころ平滑筋が貫通する孔があるので、有窓弾性板 fenestrated elastic membrane と呼ばれる )。
 ・ 外 膜 : 脂肪細胞を含む疎性結合組織からなり、中に血管( 脈管の脈管 )が多数みられる。神経、あるいは弾性繊維( 主として縦走する )も見られる。 」

  

 

 

 

 

 

 

 

■ 筋型動脈 ( muscular artery ) ■

 筋型動脈とは

 

 

 

 「 日本人体解剖学 」には以下のような解説文が見られる。

「 内膜と中膜の間に厚い 内弾性板 lamina elastica interna、中膜と外膜との間に薄い 外弾性板 lamina elastica externa が見られるが、中膜の間には弾性板は形成されない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

【 参考になるサイト 】

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅰ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅱ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅲ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅳ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅴ

 

■ 細動脈 ( arteriole ) ■

 細動脈とは

  

  

日本人体解剖学 」には以下のような解説文が見られる。

「 血管内腔に突出した内皮細胞が、平滑筋の収縮によって内腔を閉じ、血流をコントロールする。皮膚に近い細動脈の収縮は、体温の調節に密接に関与する。」

 また、以下は「ウィキペディア」の解説文となる。

「 微小循環系を形作る血管の一つとされており、抵抗血管 とも呼ばれ[1]、全身の血圧の維持と関係がある。高血圧症が持続すると、細動脈ははじめは機能的に、次に器質的に狭窄してくる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

【 イラスト掲載サイト 】

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅰ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅱ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅲ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅳ

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅴ

 

          

 毛細血管の血管壁は

 

  

  

  インターネットを用いて「 capillary 」で画像検索をかけてみると、「 discontinuous type ( 非連続型? )」という名称の毛細血管のイラストを掲載しているサイトも見られる。そして、その毛細血管が存在する場所として「 liver, spleen, bone marrow 」を挙げている。サイトに掲載されているイラストは「類洞」に似ている。ただ、類洞は spleen ( 脾臓 ) などには見られないと思われるのだが…。

 

【 イラスト掲載サイト 】

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅰ(窓あき型)

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅱ(窓あき型、連続型、類洞)

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅲ(連続型、窓あき型)

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅳ(連続型、窓あき型、非連続型?)

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅴ(連続型、窓あき型、非連続型?の断面)

 

 【 特殊な毛細血管 】

 ■ 洞様毛細血管類 洞 ): sinusoid ■

 「 窓あき型の毛細血管の一種である。肝臓、内分泌器官(下錐体、副腎)などにみられ、普通の毛細血管より、直径が大きい。」( 日本人体解剖学

 ■ 腎糸球体の毛細血管 ( 怪 網 : wonder net )■

 「 1本の動脈が急に刷毛状に分枝して互いに網状に吻合したのに、再び1本の動脈に集合する。1本の動脈の経過中に介在する動脈網を怪網といい、人体ではただ腎糸球体に見られる。動脈と動脈の間に存在する。」( 日本人体解剖学

 ■ 脾 洞 : splenic sinus ■

 「 脾臓に見られる窓あき型の毛細血管の一種 」( 日本人体解剖学

 

 

 静脈は

 

 

 

 

 

 ■ 弁の有無 / 多少 ■

・ 弁は四肢(特に下肢)の静脈に多く存在する。

・ 以下の部位の静脈には 全く 弁が見られない。

  髄膜、 脳、 頭蓋、 脊柱管、 脊髄、 肺静脈

・ 以下の部位の静脈には ほとんど 弁が見られない。

  上/下大静脈、 肝静脈、 腎静脈、 子宮静脈、 臍静脈、 門脈系、 頚部

 

■ 伴行静脈 : accompanying vein ■

 伴行静脈とは

  

 ・「 まれには叢状に動脈を取り巻いていることもある。」( 日本人体解剖学

■ 皮静脈 :cutaneous vein ■

 皮静脈とは

  

  

 以下は動脈と静脈の違いの主なものとなる。

  

   

  

 以下に、動脈と静脈の血管壁の厚みと内腔の直径の違いを簡単に記した。参考は「 プロメテウス解剖学アトラス 」となる。

 

 
動 脈
静 脈
血管壁の厚み
大動脈
2.5㎜
1.5㎜
大静脈
小動脈
1㎜
0.5㎜
静脈
細動脈
0.02㎜
0.005㎜
細静脈
内腔の直径
大動脈

25㎜

30㎜
大静脈
小動脈
4㎜
5㎜
静脈
細動脈
0.04㎜
0.04㎜
細静脈