・ 概 要
 ・ 起 始
 ・ 神経核  
 ・ 三叉神経節
 ・ 経 過
 ・
 ・ 参考となるサイト
 

 

 以下は三叉神経が神経系の中でどの位置にいるかを簡単に示した図となる。

 

 三叉神経は、顔面神経、舌咽神経、および迷走神経と同じように運動性と知覚性の神経線維よりなる混合性神経である。また、脳神経の中で最大の神経となる。

 

「船戸和弥のHP」では運動性および知覚性の線維を以下のように表現している。

 ・運動性の神経線維 ⇒ 特殊内臓性遠心性線維

 ・知覚性の神経線維 ⇒ 一般体性求心性線維

 

 上記で述べた2種類の神経線維の割合だが、その大部分を知覚性の神経線維(一般体性求心性線維)が占めて運動性の神経線維(特殊内臓性遠心性線維)はごく少数となる。「船戸和弥のHP」には以下のような解説文が見られる。

 「感覚根は運動根よりもはるかに大きく(運動根線維:約9,000本、感覚根線維:約140,000本)」

 

「三叉神経は第一鰓弓の神経であって、鰓弓運動性および鰓弓感覚性の要素を含む。」

■ 知覚根:sonsory rood ■

 以下は「日本人体解剖学 (上巻) 」の解説文となる。

「三叉神経節の細胞から起こる中枢性の神経線維(知覚根)は、橋の外側部を入って上行繊維と下行繊維とに分かれたのち、橋の菱形窩の底にある三叉神経主知覚核とその上方にある三叉神経中脳路核に入る。これらの核にある細胞から起こる繊維は運動根となって橋を出る。」

 

■ 運動根:motor root ■

 以下は「日本人体解剖学 (上巻) 」の解説文となる。

「中心前回下部の錐体細胞から起こる繊維(一次ニューロン)は、橋の三叉神経主知覚核の内側にある三叉神経運動核に入る。これらの核にある細胞から起こる繊維は運動根となって橋を出る。
三叉神経運動核は三叉神経中脳路核とも連絡し、咀嚼運動において噛む力が反射的に調節される。 」

 以下、それぞれの解説文は「船戸和弥のホームページ」からの引用文となる。

■ 三叉神経中脳路核:mesencephalic nucleus of trigeminal nerve ■

「紡錘筋や歯からの固有感覚性インパルスはいわゆる中脳路核によって伝達される。この核の細胞は中枢神経系内にありながらその形が脊髄神経節の細胞に類似している点で特徴的である。中脳路核は中枢神経系内に残留した脊髄神経節とみることができる。中脳路核の細胞の軸索の中には三叉神経運動核でシナプス結合するものがある。
「その他の軸索は同側の脳幹背外側を下行して脊髄まで達し、おそらく介在ニューロンを介して、脳神経運動核や頚筋支配運動ニューロンに連絡する。脳幹を下行するこれらの軸索群をProbstの神経路という。また、上丘や小脳に達する軸索があるとする報告もあるが、ヒトではその存在は疑わしい。」 」

 

■ 三叉神経の感覚核群:sensory nucleuses of trigminal nerve ■

「末梢からくる一次三叉神経線維は延髄と脊髄の移行部から橋にわたって広汎に拡がる三叉神経感覚核群でシナプス結合する。感覚根を通って脳幹に入るこれらの感覚線維はまず上行枝と下行枝に分岐する。太い線維は細い線維に比べて通常短く、核の最頭側部でシナプス結合する。そのほかの線維はときには脊髄まで下行してLissauerの辺縁帯にはいる。三叉神経感覚核群は大きく分けて二つの核から成る。」

 

■ 三叉神経主知覚核:principle sensory nucleus of trigeminal nerve ■

「 三叉神経主感覚核は橋において三叉神経紺野線維束の外側に位置する卵円形の核である。三叉神経根の上行枝は、太い求心性線維として、この核でシナプス結合する。この核は頭顔部領域からの主として触覚および圧覚入力を受ける。 」

※「船戸和弥のホームページ」では「知覚」ではなく「感覚」という言葉を用いている。

 

■ 三叉神経脊髄路核:spinal trigeminal nucleus ■

「 この核は主感覚核の尾側に続いて脊髄にまで達し、脊髄では膠様質に連続する。脊髄路核はさらに吻側核、中間核、尾側核に区分される。三叉神経根の下行枝は脊髄路核と平衡に走る長い線維線維束を形成する。これが三叉神経脊髄路である。三叉神経脊髄路には明確な身体部位対応配列がみられ、眼神経線維は最腹側、下顎神経線維は背側、上顎神経は前2者の中間に位置する。これらの線維は脊髄路核のニューロンとシナプス結合して、頭顔部領域からの痛覚、温度覚、圧覚を伝達する。痛覚線維は主として尾側核に終止する。 」

 

■ 三叉神経運動核(咀嚼筋):motor nucleus of trigeminal nerve ■

「これは鰓弓運動核のうちで最頭側に位置する核である。橋において主感覚核の内側に位置し、大形多極性細胞を含む。 」

 

 三叉神経節とは

 

 「船戸和弥のホームページ」には以下のような解説文が見られる。

「三叉神経節の感覚ニューロンは末梢の支配領域に対応して配列されている。眼神経を出す細胞体は内側に、下顎神経を出す細胞細胞体は外側に、上顎神経を出す細胞体は両者の間に位置する。3本の主枝は神経節の尖端で分かれてただちに頭蓋を去る。眼神経は上眼窩裂、上顎神経は正円孔、下顎神経は卵円孔を通る。 」

  

【 交 通 】

 「日本人体解剖学 (上巻) 」の交感神経の内頚動脈神経叢の解説には、内頚動脈神経叢が出す枝の1つとして「三叉神経第1枝・三叉神経節との交通枝」というものがある。しかし、同書の三叉神経(及び三叉神経節)の解説の項には「内頚動脈神経叢と交通する」旨の解説は見られない。 ⇒ 内頚動脈神経叢から出る枝の一覧

「三叉神経は脳神経のなかで最も大きな神経である。知覚性の部分は延髄、橋、頚髄上部にわたってみられる縦に長い三叉神経脊髄路核と橋の被蓋にある三叉神経主知覚核の両方から起こり、橋の外側縁から脳の外へでる。この部分は太いので大部と呼ばれる。これに対して運動性の部分は小部といわれ、橋の被蓋にある三叉神経運動核から起こり、大部と並んで走行する。大部は側頭骨の錐体にある三叉神経圧痕というくぼみに半月神経節をつくり、ここから眼神経、上顎神経、下顎神経の3本の大きな枝に分かれる。」(船戸和弥のホームページ

・神経路のイラストを掲載しているサイト-Ⅰ

・神経路のイラストを掲載しているサイト-Ⅱ

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・神経路のイラストを掲載しているサイト-Ⅵ

 三叉神経節から以下の3つの枝が出る。

 

 

【 イラストや写真を掲載しているサイト 】

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅰ(神経節からの分岐を記したCG)

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅱ(脳の標本の写真)

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅲ(脳の標本の写真)

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅳ(神経節からの分岐を詳しく描いたイラスト)

イラストや写真を掲載しているサイト-Ⅴ(神経節からの分岐を描いたイラスト)