ビタミン( 英:vitamin )

 
概 要
・化学構造/化学的性質
分 類
一覧表
吸 収

 

 

【概 要】

 五大栄養素の一つで、「わずかな量でも体内の代謝等の生命維持活動に重要な働きをしているにも関わらず
、自らは合成することができない栄養素」のこと。

【もっと詳しく】
( 所要量)
それぞれのビタミンの必要量は数マイクログラム~数百ミリグラムと非常に微量だが、不足すれば体内
での代謝がスムーズに行われなくなり「欠乏症」を引き起こす。

 

【化学構造/化学的性質】


ビタミンの物質的な構成(元素) ほとんどのビタミンは下のような元素からできています:
  • C(炭素)
  • H(水素)
  • O(酸素)
さらに種類により:
  • N(窒素) → ビタミンB群に多い(アミン構造など)
  • S(硫黄) → ビタミンB1(チアミン)など
  • Co(コバルト)唯一、ビタミンB₁₂に含まれる金属
👉 ビタミンB₁₂はビタミンの中で最も構造が複雑で、コリン環にコバルトが中心金属として入っている特殊な分子です。
ビタミンの構造的特徴(一般的な傾向)
  • 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)
    → 大部分が“炭化水素の骨格(油に溶ける構造)”
    → 長い炭素鎖や環構造を持つ
  • 水溶性ビタミン(B群・C)
    → OH(ヒドロキシ基)やNH(アミノ基)など“水に溶けやすい官能基”を持つ
    → 構造は脂溶性より小さく、極性が高い

より具体的に:代表的ビタミンの構造例
  • ビタミンA(レチノール):長い炭素鎖 + OH基
  • ビタミンC(アスコルビン酸):水に溶けやすい環状構造
  • ビタミンB1(チアミン):硫黄を含む複雑な環状構造
  • ビタミンD:ステロイド骨格に近い構造
  • ビタミンE:芳香環 + 長い炭素鎖
  • ビタミンK:芳香環 + 側鎖
  • ビタミンB12:巨大環状構造(コリン環)+中央にコバルト

 

【ビタミンの分類】
ビタミンは以下のように大きく2つに分類することができる。
脂溶性ビタミン:「脂溶性」というだけあって油に溶ける性質を有する。また、脂溶性ビタミンを有する
食品は油分と一緒に摂取すると吸収率が上がる。体内に蓄積できる反面、摂取しす
ぎると、過剰症を引き起こすので注意が必要となる。
水溶性ビタミン:脂溶性に対して「水溶性」は水に溶ける性質を有するため、水溶性ビタミンを含む食
品を水に浸し過ぎると溶け出してしまう恐れがある。体内に蓄積することはできない
ので過剰摂取の心配はない。

 

 

【ビタミン一覧表】

分類

No

名 称

別   名

脂溶性ビタミン

1

ビタミンA

レチノール

2

ビタミンD

カルシフェロール

3

ビタミンE

トコフェロール

4

ビタミンK

K1(フィロキノン) K2(メナキノン)

水溶性ビタミン

5

ビタミンB1

チアミン

6

ビタミンB2

リボフラビン

7

ビタミンB6

ピリドキシン

8

ビタミンB12

コバラミン

9

葉酸

 

10

ナイアシン

ニコチン酸

11

パントテン酸

 

12

ビオチン

 

13

ビタミンC

アスコルビン酸


【吸 収】


結論:ビタミンごとに吸収部位が違う

① 水溶性ビタミン(B群・C)主に空腸(jejunum)で吸収される

  • ビタミンC
  • ビタミンB1、B2、B3(ナイアシン)、B6
  • 葉酸
  • パントテン酸
  • ビオチン
    ※ ただし ビタミンB12だけは例外(回腸末端で吸収)
✔ 水に溶けやすく、特別な脂質処理を必要としないため、
空腸でスムーズに吸収される。
② 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)主に空腸と回腸で、脂質と一緒に吸収される
  • ビタミンA
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • ビタミンK
これらは「脂肪の吸収」とほぼ同じ仕組みで吸収されるため:
  • 十二指腸で胆汁酸によりミセル形成
  • 主に空腸〜回腸で吸収
※ 特に胆汁酸が必要なので、胆汁酸再吸収の多い回腸末端でも吸収が起こりやすい
③ 例外:ビタミンB12回腸末端(terminal ileum)でのみ吸収できる 理由:内因子(胃由来)と結合した複合体を認識できる受容体が回腸末端にしかないため。
全体をまとめると
ビタミンの種類 主な吸収部位
水溶性(B群・C) 空腸
脂溶性(A・D・E・K) 空腸〜回腸
ビタミンB12 回腸末端のみ

最重要ポイントだけ言うと?
  • ほとんどのビタミンは空腸で吸収される。
  • 脂溶性ビタミンは脂肪と一緒に空腸〜回腸で吸収。
  • B12だけは回腸末端。