概要 
位置
形状など
構造
作用
脈管および神経

 

 胸腺は生後2~3年の時に最もよく発達し、思春期を迎えるころには最大となる。ただし、それ以降は脂肪組織が多くなり退化の道をたどる。

 以下は「日本人体解剖学 (下巻) 」からの引用文となる。

 「新生児で重量8~15g、思春期で最大重量30~40gとなり、思春期を過ぎると退縮し、老人では痕跡的となる。

 

 胸腺は、胸骨のすぐ後ろ、心臓に出入りする動脈、静脈群の前面に位置する。

 

 

 

 

 

・扁平の三角形

・多くの場合は左右不均等な左様、右葉の2つに分かれている。

(左右の大きさが同じような場合もあれば、どちらか一方が大きい場合もある。また、境界線が広い範囲にわたって続いていることもある。)

 ・色…淡い紅灰白色

 以下は「船戸和弥のホームページ」の「解剖学テキスト」の「脈管学」の「胸腺」からの引用文となる。

 「出産時においては長さ5~6 cm,底における幅3~4cm,厚さ1cmであり,重さは15~20 grの範囲である.第2年では重さは25~28 gr,青春期では37grである.比重は初め1.05であるが,脂肪の含有が増すとともに減少する.実質は約85%の水分を含んでいる.」

 また、同サイトを参考にして以下の表を作成する。

 日本人の胸腺の平均重量

生後1カ月以内
3~5歳
6~9歳
10~14歳
16~19歳
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳以上

18.28g

32.19g

33.75g

30.35g

31.26g

26.37g

24.85g

23.23g

20.00g

19.68g

16.35g

30.50g

26.14g

22.45g

27・85g

24.89g

21.91g

23.75g

20.84g

18.21g

 

 

 

・周りは 結合組織性の被膜(capsule)に覆われている。

・その結合組織が内部にまで入り込み、胸腺を多数の小葉(lobule)に分けている。

・小葉の直径は0.5から1.0㎝ほどで、中心部の髄質とその周辺部の皮質の2つに分けることができる。ともに上皮性の細網細胞(胸腺上皮細胞)と細網繊維からなる。

髄質(medulla):皮質ほど細胞が密には存在していない。胸腺細胞(胸腺リンパ球)も見いだせるが、上皮性の細網細胞(reticulum cell)が多い。また、ハッサル小体が存在している。

皮質(cortex):胸腺細胞が著しく密集して存在し、血管に富んでいる。

ハッサル小体(Hassall's corpuscle):中心部が少数の細胞からなり、その周りには他の扁平細胞が同心性にタマネギのように集まっている部分となる。その機能については今だ不明のようである。

ハッサル小体の細胞組織学的写真を掲載しているサイトⅠ

ハッサル小体の細胞組織学的写真を掲載しているサイトⅡ

ハッサル小体の細胞組織病理学的写真を掲載しているサイトⅢ

・その他の存在細胞

 「日本人体解剖学 (下巻) 」の「胸腺」の項では細網細胞(胸腺上皮細胞)や胸腺細胞(胸腺リンパ球)以外の細胞として「大リンパ球、巨核球、形質細胞」を挙げている。

 なお、ウィキペディアの「胸腺」では「大食細胞、樹状細胞」を挙げている。

 

 

 

⇒ 細胞組織学的写真を掲載しているサイトⅠ

細胞組織学的写真を掲載しているサイトⅡ

細胞組織学的写真を掲載しているサイトⅢ

細胞組織学的写真を掲載しているサイトⅣ

被膜から髄質にかけての構造が分かるイラストを掲載しているサイト

 

 胸腺は、骨髄で造血幹細胞から分化したリンパ芽球をTリンパ球にして全身のリンパ性組織に送っている。

 

 

 

 

 

その他のYouTubeへの投稿動画(音声なし、英語で解説)

リンパ芽球がTリンパ球になる過程のイラストを掲載しているサイト

 

【動脈】

・内胸動脈からの胸腺枝  ・内胸動脈からの心膜横隔動脈の枝  ・鎖骨下動脈からの下甲状腺動脈の枝

※上記の動脈の多くは皮質および髄質の間を走り毛細血管となって皮質中に終わるが、一部は髄質中に終わるものもある。

 

【静脈】

 胸腺静脈から左腕頭静脈に注ぐ。

 

【リンパ管】

日本人体解剖学 (下巻) 」の「胸腺」の項からの引用文

「小葉表面には大きなリンパ管があり、葉間結合組織中にあるリンパ管と連なり血管とともに走る。前縦隔リンパ節および深頚リンパ節に入る。」

 

【神経】

迷走神経  ・交感神経

※大部分は血管に終わるが、髄質に終わるものもある。ほとんどは無髄神経線。