概 要
 ( 副交感神経節、節前線維/節後線維神経伝達物質
区 分脳 部仙骨部
「ChatGPT」に聞いてみた
 Q.「副交感神経系の神経節を通る細胞は全て副交感神経線維か?
 Q.「神経核からスタートした副交感神経線維が標的器官に達するまでには2個の神経節を通過することはあるのか?
 Q.「副交感神経系の多極神経細胞は有髄、無髄?
交感・副交感比較表

 

 

 以下は神経系を簡単に表した図となる。

 

 副交感神経は、もう一つの交感神経とは拮抗的に作用する。たとえば、交感神経は血管を収縮させる作用があるのに対して、副交感神経はその逆の血管を拡張させる作用を有する。つまり、交感神経が身体が活発に活動しているときや緊張しているとき、またはストレスなどを受けているときに優位に働くのに対して、この副交感神経は、身体がリラックスしているときに優位に働く神経になる。  

 

 
 

 

  

  

 

 節前線維と節後線維とのシナプス、または節後線維と筋、腺などの効果器との接合部における情報の伝達は神経伝達物質によって行われる。神経終末から放出される化学物質の種類によって末梢神経系の自律神経は、コリン作動性ノルアドレナリン作動性の2つに分けられる。

 

自律神経節
節前線維
節後線維

コリン作動性

Cholinergic fiber

 ノルアドレナリン作動性 noradrenergic fiber

 ノルアドレナリンを放出するニューロン

(汗腺と骨格筋の血管を支配する神経線維はコリン作動性)

コリン作動性

 コリン作動性

 アセチルコリンを放出するニューロン

 ⇒ 関連イラストを掲載しているサイト

 

 

 

 副交感神経は、その起始部の位置から脳部と仙骨部の2部に区別され、さらに脳部は中脳部副交感神経菱脳部副交感神経に区別される。

 脳 部 : 前線維は脳神経(動眼神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経)に入り込む。

 骨盤部 : 節前線維は第2から第4仙骨神経の前根中を走る。

 

【脳 部】

 副交感神経は、その起始となる神経核の位置により脳部と仙骨部の2部に区別される。脳部の副交感神経の特徴として、さらに中脳部副交感神経と菱脳部副交感神経の2部に区別され、それぞれ起こる起始核と入り込む脳神経が異なる。

 ⇒ 中脳部副交感の詳細ページへ

 ⇒ 菱脳部副交感神経の詳細ページへ

 
 

 

【仙骨部】

以下は「 日本人体解剖学 (上巻)」では以下のように解説している。

「節前線維は、仙髄の仙髄副交感核から起こり、第2~第4仙骨神経の前根中を走り、これらの神経とともに腸骨動脈神経叢中の神経節細胞に至り、その節後線維はこれから出て下行・S状結腸、直腸、膀胱、生殖器などに達する。
この仙骨部は、骨盤内臓・外陰部などの血管に拡張神経を与えて陰茎勃起を起こし、骨盤内臓神経あるいは勃起神経とも呼ばれる。 そのほかに、次の作用がある。
・膀胱括約筋 - 抑制
・膀胱排出筋 - 促進 ⇒ 排尿
・下行・S状結腸、直腸 - 運動促進 ⇒ 排便  」

 

【Q.副交感神経系の神経節を通る細胞は全て副交感神経線維か?】

 神経節を通る線維=節前線維と節後線維 が基本だが、副交感神経節を通る線維すべてが副交感神経線維とは限らない。

 交感神経や感覚線維の一部が節を通過 することがある。

 特に副交感神経節は臓器近くにあるため、他の線維が交差・通過することがある。

 

【Q.神経核からスタートした副交感神経線維が標的器官に達するまでには2個の神経節を通過することはあるのか?】

 はい、副交感神経系でも 一部の例で2つ以上の神経節を通過する場合 があるが、基本原則は「1回のシナプスで節後線維に変換される」という点

 ・頭部副交感神経では、節前線維が 主要な神経節に入る前に小さな副神経節や通過性節を通過 することがある。

  例:顔面神経の節前線維は翼口蓋神経節を通過して涙腺に向かう線維があり、最終的な標的に達する神経節でシナプス

  • この場合、最初の神経節はシナプスせずに通過

  • しかし、最終的に 必ず1回はシナプスして節後線維に変換される

■ポイント■
  • 副交感神経線維は基本的に 1回のシナプスで節後線維になる

  • 通過性の神経節がある場合でも、シナプスは最終的な標的神経節で1回だけ

  • 2個以上の神経節で連続してシナプスして節後線維が複数に分かれることは ほとんどない

 

【Q. 副交感神経系の多極神経細胞は有髄、無髄?】

 副交感神経系の多極神経細胞(特に節後ニューロン)は 基本的に無髄神経線維が多い。

 ・節前線維:中枢神経系の副交感神経核から出る線維で、多くは有髄(B線維)です。

 ・節後線維:神経節の多極神経細胞から出て標的器官に向かう線維で、無髄(C線維)が主体です。

 これは、節後線維が比較的短距離(標的器官の近くまたは内部に神経節があるため)であり、伝導速度がそこまで高速である必要がないから。

 

以下は簡単な交感神経と副交感神経の比較表となる。

項 目
交感神経
副交感神経
働 き
 活動・緊張・ストレスに対応(“戦うか逃げるか”)
 安静・休息・回復に対応(“休んで消化する”)
主な神経節の位置
 脊髄の胸髄・腰髄(T1~L2)の両側にある交感神経幹や椎前神経節
 脳幹と仙髄(S2~S4)から出て、効果器近くに神経節
節前線維
 短 い
 長 い
節後線維
 長 い
 短 い
主な神経伝達物質
 ノルアドレナリン(多くの効果器)
 アセチルコリン
主な作用
 心拍数 ↑、血圧 ↑、気管支拡張、瞳孔散大、消化抑制
 心拍数 ↓、血圧 ↓、気管支収縮、瞳孔縮小、消化促進
例えるなら
 アクセル
 ブレーキ